ビルの屋上階にあって四方すべてから大阪市内が見渡せる眺望の良い日本料理屋である。大川沿いの桜並木、それに続く中之島一帯が眼下に見渡せ、さらに手に取るように大阪城と対面して大阪市内が広がっている。夜ともなると大阪城がライトアップされ、市内の夜景が美しい。この景色をインテリアに取り入れ、そしてそれをどう表現するかが今回のテーマであった。
正方形のプランであるが、中央部がビルのエレベーター機械室となっていて、残った窓側部分が店舗、いわゆるドーナツ状のプランである。必然的に動線は回廊式となり、回遊式庭園ではないが、空間全体を“庭”に見立て客席を配している。桜並木の見える客席には桜吹雪をイメージした和紙貼りの光り壁、城壁をモダンに表現した通路の石紙といった具合に、その場から見える景色を比喩的に捉え表現することで、その場が持つ特性を高めている。また回遊することで変化する空間、そして人の気配や漂う空気感を大切にし、デザインしたつもりである。
設計当初、オーナーから提示されたコンセプトは“秀吉と利休”であった。それを、大胆さ、力強さや象徴性、精神性として捉え、緊張感のある空間を求めた。そしてバリエーションに富んだ客席、それらをさまざまな素材を用い対比させながら整合性のある空間を求めた。 |