伏見の大手筋商店街は、京都では三条通りの商店街と並んでかなり古くからあって人々に馴染み深い。またあらゆる商店が軒を連ね四六時中賑わっている。京阪伏見桃山駅からこの商店街に少し入ったあたり、新しく建て替えられたテナントビルの2階に「かつくら
伏見桃山店」がある。もともと事務所用のスペースとして計画されたものである。
細長いうなぎの寝床のようなスペース、ジグザグなガラスのファサード、そして極端に低い階高、こうした条件をデメリットとしてとらえるのではなく、いつもそうなのだが「私にとってこのスペースでしか創り出すことができない空間」を求めた。
ジグザグなガラスのファサードは唯一商店街に面する部分だが、思いきって更衣室としガラス部分に和紙を張り、間接照明によって行灯のような個性的なファサードとし訴求性を高めている。それによって客席部分は単純な平面となり、低い階高は梁型を見せ天井を高くするのではなく逆に極限まで天井を低くすることで空間に奥行き感を与え、光壁から出る柔らかい光に包まれた茫洋とした空間を創り出している。ウエイティングの自立スクリーン、ベンチ席の光壁、ロングテーブル席の吊りパネルにはそれぞれ材種の違う木のツキ板を貼り、間接照明で浮かびあがらせた木目の美しさを楽しんでみた。不思議な雰囲気が漂っている。 |