透かしつつ仕切るという手法は今、私にとって興味深いテーマの一つである。今度の店舗のデザインもほとんどそれに費やしている。今回は既存店の全面リニューアルである。業態を変えず、銀座という地域に見合った雰囲気をつくり出し、新たな客を確保することがリニューアルの主目的である。
ビルの地下1階で延べ120坪の比較的広いスペースであるが、間口が狭く奥行きの長い京都によくあるウナギの寝床のようなスペースである。地下2階には既存の座敷や個室があって、今回の改修部分と併せて一つの店舗ということになる。
店舗の構成はノミ切りされた大きな庵治石を絡ませたカウンター席、そして銅板パネルでほどよく仕切られた中央ベンチ席、このスペースは低い和紙張りのヴォールト天井で被われたトンネル状の空間とし次に現れる空間に期待感を持たせるとともに、光に包まれた居心地のよい空間となっている。そして一番奥には土間の空間をしつらえた。長さ8mの大きな格子スクリーンで仕切られた小上がり席、よろけ文様の布をはさみ込んだガラススクリーン越しに見える光に包まれた座敷席から成っていて、それぞれのスペースが透かしつつ仕切られ、そして繋がっている。歩くことで視覚的に変化し、人の気配や漂う空気といった知覚的な空間を意識し注意深くデザインしたつもりである。視野に訴え、さらに視覚として感じる空間は私にとって今後とも、もっとも大事なテーマでもある。 |