渋谷マークシティ4階のレストランフロアの中央通路から少し詰まったところに、この「御蔵」はある。銀座(1998年1月号)に続き2店目の展開である。基本的な考え方は銀座と変わらないが、オーナー側からは個室を多く、高級感は出さず品格を出す、重厚感よりは軽やかさを、といったややもすれば相反するとも思える要求が出された。これに対し土、木、和紙など多くの自然素材を用いながらそれを感じさせない空間、そしてより「モダン」であること。さらにその場で展開されるシーンを予感させながら、人の気配を感じさせる空間、といった主題を引き出していった。光壁がその役割の大半を担っている。個室部分は誘い、かつ光間仕切りとして、焼き台を取り巻くカウンター席では平面性を与え、柔らかな光で空間を包み込んでいる。
また、目荒らしされた無垢材の床板は、光に照らされた微妙な陰影をつくり出し、ぬくもりと居心地感を高めている。全体としては、素材感を出しつつも、それ自体が主張しないよう心掛けた。銀座店の流動的で広がりのある大きな一室空間に対し、ここではそれぞれの場が気配によって繋がっていく空間を求めた。言い換えれば部分から全体への思考である。 |